「ベースギターについて」


ポップスやロックをCDで聴いていて、一番耳につきやすいのは、ヴォーカル。

多分、その次がギターかシンセサイザー。そして、ドラム。

人によって、この順序は入れ替わるかもしれない。

でも、CDの音に限って耳につきやすい楽器を考えると、やはりこの順番になってしまう。

それもそのはず、レコーディングの際には必ずミキシングという工程があるからである。

ミキシングでは、一番聴かせたいヴォーカルの音量が、大体、他より大きく設定される。

ギターとシンセも、程よく聴こえるように周波数や音量、定位が調整されている。

ドラムは、叩き方に特徴があったりすると、それなりに耳につき易いものである。

さて、ここまでで圧倒的に無視されている存在がある。(あえて無視したんやけど。)

そう、この稿のタイトルになっている「ベース」である。

4本弦の弦楽器で、あのボンボンとかベンベンとか低音で鳴ってるやつである。

ベーシストの皆さんにはスマナイが、一般的にベースはマイナーな存在だとボクは思う。

ボクは、バンドをやっていたことがある。(何となくギター弾いてた。(^^;))

だから、曲のコピーをするとき、CDを繰り返し聴く作業によくいそしんだものである。

その作業中、ベーシストじゃなくてよかったと胸を撫でおろしたことが何度かある。

何故か。それは、とにかく聴き取りにくいのである。

ベースに特徴のある曲は別にして、CDに入っているベースの音はとにかく目立たない。

意識しても、ベースライン(ベースのメロディ)を聴き取りきれないことがある。

聴き取れたとしても、覚えにくいので日常のシーンで口ずさむこともない。

鼻歌で、ドゥッ、ダディダ、ブンブーンとかやる人もそうはいないだろう。

ベーシストかベースフェチでもない限り、ベースを耳につき易い楽器だとは言うまい。

さらに、ごくフツーの人々の会話から、

「ラルクのあの曲のベースって、今流行りのベースラインでキャッチーだよね。」

などというフレーズが飛び出す確率は、もうかなり低い。

それどころか、ボクの両親などは、ベースの存在自体あやふやだったりする。

ゆえに、ベースはマイナーなのである。(勝手にマイナーにしてもうた。)
 
しかしというか、だからというべきか、ボクはこのベースが大好きなのである。


散々こきおろしておいて何だが、ベースには底知れぬ魅力がある。

それを生意気に語らせてもらおうというのが、この稿の本来の目的なのである。

まず、ベースはシブイ。出涸らしの茶のようにシブイ。

いわゆる、低音の魅力というやつである。

ベースは、バンドの低音部分を担当する縁の下の力持ち。

つまり、音全体の土台である。

仮に、バンドの練習をする際にベーシストがドタキャンをしたとする。

残ったメンバーでスタジオのキャンセル料を払うのは、ちとフトコロが痛い。

当然、ギターとキーボードとドラム、ヴォーカルのみで練習することになる。

演奏中、各メンバー達は、うそ寒い風を背中に受けているような感覚に捕われる。

半分以上食べてもあんぱんの「あん」が出てこない、みたいな感覚かもしれない。

そして、各メンバーのモチベーションは、うなぎ下がりに下がっていく。

というわけで、とにかくベースがなければバンドは成り立たない。(形態にもよるが。)

目立たないけれど、皆に必要とされるひたむきな存在。

それがベース。やはり、シブイ。奥ゆかしさすら感じる。

さて、ベースそのものがシブイのだから、当然それを操るベーシストもシブイ。

ボクの知るベーシストたちは、どいつもこいつも皆シブイ。(と思う。)

彼らは、何もシブさを気取って出しているのではない。

もとのキャラがシブイ人もいれば、ベースを演奏するうちにシブくなった人もいる。

そんなシブイベーシストを一人紹介しよう。

彼は、ボクが大学の軽音楽部にいたときの同期のベーシスト。

短期間だが一緒にバンドを組んだこともある。

彼のニックネームは「ダンディ」。

ほとんどの周囲の人間は、本名で彼の名を呼ばない。

彼の余人をしてダンディと呼ばしめる所以は、その寡黙さにある。

寡黙ゆえに、彼がボソッと発する一言には特有のボリュームがある。

寡黙ゆえにその立居振舞いにもソツがない。

彼は、言葉で伝える代わりに行動で示すことに長けている。

例えば、先輩がポケットからタバコを取り出すと、黙ってライターと灰皿をスッと出す。

余計なことは一切言わないし、その行動たるや実にスムーズである。

無口な人は、普通、間が持たないとか暗いとかいう理由で敬遠されがちである。

しかし、彼は周囲の人々から好かれる存在だった。

もちろん、無口であることが彼にとってマイナスに働くこともあったであろう。

が、彼は決して数合わせとしてでなく、重宝がられて数多くのバンドに在籍していた。

ということは、彼に寡黙ゆえに滲み出る魅力があったということである。

もう一人、シブイベーシストを紹介しよう。

彼女は、弾くのに力の要るベース(ちなみにボクは全く弾けない。)を男顔負けに操る。

それだけでもう充分シブイなとボクは思ってしまう。

それどころか、彼女は涼しい顔でチョッパー奏法をバキベキッとキメたりもする。

ステージでバキベキッとキメられた日にゃあ、シブさのあまり眉間に皺が寄ってしまう。

最近は、キュートな女性のベーシストを目にすることも増えた。

だが、彼女のようなシブさの出ている人はそういないように思う。

大学の軽音楽部で同期だったから、彼女の人となりを少しは知っているつもりである。

して、ボクの少ない認識から類推すると、彼女は、もともとシブかったわけではない。

というか、今でもベースを手にしているとき意外は別段シブくはない。

彼女の素のキャラクターは、普通のどこにでもいそうな感じの女の子である。

前述の「ダンディ」は、もとのキャラがすでにシブかった。

が、彼女の場合、ベースとの付き合いを深めることでシブくなったと言えるのである。

とまあ、二人のベーシストを比較して、ベーシストのシブさの質の違いを述べてみた。

ここで思うことが3つある。

1つは、ベースを選ぶ人間はもともとシブイ資質を持っている場合が多いということ。

もう1つは、ベースと深く付き合っているベーシストほど、シブイということ。

残りの1つは、ベーシストにはストイックなイメージがあるということ。

さて、ここまでベースやベーシストにまつわるシブさについて生意気に語ってきた。

ベースのシブさ以外の魅力について述べてみたい。

ここまでの内容はまだ、ベースの魅力を語るうえでの序章に過ぎない。(はずである。)

ベースの生い立ちと変遷。ベーシスト達とベースのマリアージュ。魅惑のウッドベース。

などなど、魅力は限りなくある。

だがしかし。

まことに乱暴だが、今回は、ここら辺りキリのいいところで終わりにしておくとしよう。

いっぱい書いて不評やったら骨折り損でごっつやるせないし。

続きは、どないしよう。

ネタが挙がり次第書くか。

万一リクエストがあれば書くか。

はたまた不評で筆を折るか。

誰かに書いてもらうか。(ベースをこよなく愛する薀蓄タレな方に。)

てなことになるでしょうな。
                   
To be continued……? Or Fine?



(実験的に、1文ごとに改行し、1文が2行以上にまたがらない形式で書きました。ネット
上でのエッセイの読みやすさを考えたつもりなのですが、客観的に見てネット上のエッセ
イに適した叙述形式なのかどうかは、まだわかりません。今後の改善に反映させたいと思
いますので、もしよければ、御意見、アドバイスをお願いします。メールか掲示板で承り
ます。)



トップページにもどる              
エッセイのメニューに戻る